画像を切り抜く方法が分からなかったり、上手く切り抜けなくて困っていませんか?
切り抜き(トリミング)は、写真の合成などの画像加工でよく使う便利な手法です。
その一方で、方法がたくさんあるので、もっとキレイに切り抜ける方法がないか探している方も多いでしょう。
本記事では、
- ざっくり切り抜く方法
- 人物などを輪郭に沿って切り抜く方法
のように、それぞれの画像に合った切り抜き方法を7個ご紹介します。
GIMPを使い始めたばかりの方でも分かるようにご説明しますので早速始めましょう。
目次
※項目をクリックすると該当箇所へ飛ぶことができます。
1-1.切り抜きツール
1-2.矩形選択、楕円選択、自由選択ツール
2-1.前景抽出選択ツール
2-2.電脳はさみツール
2-3.ファジー選択ツール
2-4.色域を選択ツール
2-5.パスツール
1.ざっくり切り抜く方法
このように、四角形 や 円形 などにざっくり切り抜く方法をご紹介します。
※切り抜きの途中で操作を間違えたら、「Ctrl キー」 + 「Z キー」 で1つ前の操作に戻れます。
1-1.切り抜きツール
「切抜きツール」は、四角形に画像を切り抜きます。
GIMPの切抜きの中で一番シンプルな方法なので、簡単にあっという間に切り抜きができます。
1.ツールボックスから 「切り抜きツール」を選択します。
2.ツールオプションには設定項目がいろいろとありますが、大体の場合は、初期設定のままで大丈夫です。
①現在のレイヤーのみ
現在アクティブなレイヤーを対象に切り抜きます。
②拡大を許可
キャンバスサイズをはみ出ても切り抜き出来ます。はみ出た部分は透過処理されます。
③中央から拡げる
切り抜きの四角形が最初にクリックした場所を中心に広がります。
④値を固定
寸法の一部や縦横比を固定して切り抜きが出来ます。
⑤ハイライト表示
切り抜き範囲の外側を暗くして、切り抜き範囲を見やすくします。
⑥表示しない
「表示しない」をクリックすると、切り抜き範囲の内側に表示できるガイドの一覧が表示されます。
選択すると、このようにガイドが表示され、レイアウトを決めるのに便利です。
⑦すべての可視レイヤーを対象にする
アクティブレイヤーだけでなく、すべての可視レイヤーの画像を切り抜きます。
3.画像の切り抜きたい部分をドラッグします。後から修正が出来るのでざっくりでOKです。
マウスを離すと、切り抜き範囲以外が暗く表示されます。
4.切り抜き範囲に修正がある場合は、ここで調整しましょう。
切り抜き範囲の四隅の小さい四角形にカーソルを合わせてドラッグすると、切り抜き範囲を大きくしたり小さくしたりできます。
また、切り抜き範囲の中央あたりにカーソルを合わせて、カーソルがになったらドラッグすると、切り抜き範囲を移動できます。
5.切り抜き範囲が調整できたら、「Enter キー」を押す(または、切り抜き範囲内をクリックする)と、
切り抜きされます。
この方法は、キャンバスサイズ (画像サイズ) が切り抜き範囲に合わせて小さくなります。
下図のようにキャンバスサイズを変更せずに画像を切り抜きたい場合は、次に紹介する 「矩形選択ツール、楕円選択ツール、自由選択ツール」 で切り抜いてください。
1-2.矩形選択ツール、楕円選択ツール、自由選択ツール
これらの切り抜き方法では、画像のキャンバスサイズを変更せずに切り抜き出来ます。
①矩形選択ツール、楕円選択ツール
「矩形選択ツール」は、「四角形」 の選択範囲を作成します。
「楕円選択ツール」は、「円形」 の選択範囲を作成します。
1.ツールボックスから「矩形選択ツール」もしくは、「楕円選択ツール」
を選択します。
ツールオプションには設定項目がいろいろとありますが、大体の場合は、初期設定のままで大丈夫です。
①なめらかに
曲線を選択する時にギザギザせずに、滑らかな選択範囲を作成できます。
※「矩形選択ツール」ではこの項目を有効に出来ません。
②境界をぼかす
指定した数値で選択範囲の境界をぼかします。
③角を丸める
四角形の角を指定した半径で丸めます。
④中央から拡げる
選択範囲を中心から広げて作成できます。
2.まず、切り抜きたい範囲をドラッグして、
マウスを離すと点線で囲まれ、四隅に変形用の小さい四角が表示された “仮の選択範囲” が作成されます。
※正方形や正円にしたい場合は、ドラッグしてそのままマウスのボタンを離さずに、「Shift キー」を押します。
3.選択範囲に修正がある場合は、ここで調整しましょう。
- 選択範囲の四隅の小さい四角形にカーソルを合わせてドラッグすると切り抜き範囲を大きくしたり小さくしたりできます。
- 選択範囲の真ん中あたりにカーソルを合わせて、カーソルが
になったらドラッグで選択範囲を移動できます。
選択範囲が調整できたら、「Enter キー」を押す(または、選択範囲内をクリックする)と、
選択範囲が確定されます。
3.「Delete キー」を押すと、花の部分が切り抜きできますが、
花ではなく背景を切り抜きたいので、選択範囲を作成した状態で、
「選択」→「選択範囲の反転」をクリックし、
選択範囲を反転させます。(背景が選択範囲になります。)
そして、「Delete キー」を押すと、背景が切り取り出来ます。
②自由選択ツール
「自由選択ツール」は手書きで対象物をなぞるように、自由な形に選択範囲を作成できます。
1.「自由選択ツール」を選択します。
2.まず、切り抜きたい対象物に沿って、ドラッグしながら囲んでいきます。
3.1周して始点にカーソルを合わせると、黄色い丸が表示されるので、マウスのボタンを離すと、
選択範囲が確定されます。
4.直線で結びたい場合は、まず、始点をクリックします。
そして、直線の終点にしたい点をクリックします。
すると、2点が直線で結ばれます。
最後は、始点にカーソルを合わせると、黄色い丸が表示されるのでクリックすると、
始点と終点が結ばれて選択範囲が確定されます。
5.選択範囲が作成できたら、「Delete キー」を押すと、花の部分が切り抜きできますが、
花ではなく背景を切り抜きたいので、選択範囲を作成した状態で、
「選択」→「選択範囲の反転」をクリックし、
選択範囲を反転させます。(背景が選択範囲になります。)
そして、「Delete キー」を押すと、背景が切り取り出来ます。
※切り抜いた場所を透明にしたい場合は、本記事内の「透明に切り抜く方法」を参考にしてください。
次の項では、切り抜き対象の輪郭に沿って切り抜く方法をご紹介します。
2.輪郭に沿って切り抜く方法(人物など)
このように、人物などを輪郭に沿って切り抜く方法をご紹介します。
基本的な手順は、
手順1:選択範囲を作成する
手順2:「Delete キー」で切り抜く
ですが、選択範囲の作成方法が何通りもあります。
ここでは、全ての方法をご紹介します。
※切り抜きの途中で操作を間違えたら、「Ctrl キー」 + 「Z キー」 で1つ前の操作に戻れます。
2-1.前景抽出選択ツール
「前景抽出選択ツール」は、選択したい範囲と非選択の範囲を塗りつぶして区別する方法です。
人物などの複雑な形のものを切り抜くときにおすすめです。
1.「前景抽出選択ツール」を選択します。
2.まず、切り抜きたい対象物の周りをおおまかにドラッグし、囲んでいきます。
1周して始点にカーソルを合わせると、黄色い丸が表示されるので、マウスのボタンを離します。
3.すると、ドラッグで囲った範囲の外側が青く表示されます。
青で塗りつぶされた部分が 背景(不要な部分)となり、青で塗りつぶされていない部分が 前景(切り抜きたい部分)になります。
4.続けて、切り抜きたい部分をドラッグしていきます。ドラッグすると黒く塗りつぶされます(描画色に設定されている色で塗りつぶされます)。
ここでは、みでてしまったり、塗りつぶし忘れている箇所があっても後から修正が出来ます。
必要に応じてツールオプションの設定項目を調整しましょう。
①単一領域を抽出
チェックを入れると、ドラッグした部分に隣接した同じ色の領域だけが、選択範囲として認識されます。
チェックを外すと、ドラッグした部分と離れた領域の同じ色も、選択範囲として認識されます。
- ②スムージング
-
小さな値にするとドラッグした場所がより緻密に選択ができますが、 選択範囲は塗りつぶしそびれた箇所に穴が空くかもしれません。
5.微調整をしましょう。
より正確に切り抜き範囲を作成する為に、GIMPウィンドウの下部にある表示倍率メニューで「400%」を選び、画像を拡大して作業をしましょう。
- 切り抜く部分なのに背景として認識されてしまっている部分の調整
ツールオプションで「前景部分をマーク」にチェックを入れて、
ドラッグして黒で塗りつぶします。
- 背景なのに切り抜く部分として認識されてしまっている部分の調整
ツールオプションで「背景部分をマーク」にチェックを入れて、
ドラッグします。
このように調整を繰り返して、正確に前景(切り抜きたい部分)を作成します。
※「前景部分をマーク」と「背景部分をマーク」は「Ctrl キー」を使って切り替えることも出来ます。
前景部分をマークしているときに、「Ctrl キー」を押して、押したままドラッグすると、背景部分をマークでき、「Ctrl キー」を離すと前景部分のマークにもどります。
6.切り抜きたい部分が正確に選択できたら、「Enter キー」を押すと、
選択範囲が確定され、切り抜きたい部分が点線で囲まれます。
7.次に、「選択」→「選択範囲の反転」をクリックし、
選択範囲を反転させます。(背景が選択範囲になります。)
続けて、「Delete キー」を押すと、
背景が切り取り出来ます。
※切り抜いた場所を透明にしたい場合は、本記事内の「透明に切り抜く方法」を参考にしてください。
2-2.電脳はさみツール
「電脳はさみツール」は、クリックした場所から次にクリックした場所までの間で、自動的に選択境界を作れます。
切り抜き境界のコントラストがはっきりした画像を切り抜くときに便利です。
1.「電脳はさみツール」を選択します。
2.まず、切り抜き対象物の境界がはっきりした部分でクリックしてポイントを置きます。
3.続けて、境界部分の明確な部分をクリックします。
すると、ポイント間の境界が自動的に認識され、線で結ばれます。
4.どんどん、境界線上をクリックして行きます。
電脳はさみは、ポイントを作った時に上手く輪郭が作成されなくても、「Ctrl キー」+「Z キー」(または、「編集」→「元に戻す」)で取り消しが出来ません。
そのため、ツールオプションの「新規ノード追加時に境界を表示」をチェックしておきましょう。
「新規ノード追加時に境界を表示」をチェックを入れると、次のポイントをクリックしてそのままマウスのボタンを離さずに境界線上をドラッグすると、境界線のプレビューが表示されるので、
上手く境界線が認識される所でマウスを離し、
失敗無く境界線を作成できます。
5.1周したら、始点上にカーソルを合わせ、カーソルがになったらクリックします。
すると、始点と終点が結ばれます。
6.この時点では、まだ微調整が可能です。
- 点の移動
移動したい点の上にカーソルを持って行き、カーソルがになったら、ドラッグすると点を移動できます。
- 点の追加
境界線上にカーソルを合わて、カーソルが「」になったら、線をクリックすると点を追加できます。
7.境界線が上手く作成できたら、「Enter キー」を押す(もしくは、閉じた境界線内をクリックする)と、
選択範囲が作成できます。
8.次に、「選択」→「選択範囲の反転」をクリックし、
選択範囲を反転させます。(背景が選択範囲になります。)
続けて、「Delete キー」を押すと、
背景が切り取り出来ます。
※切り抜いた場所を透明にしたい場合は、本記事内の「透明に切り抜く方法」を参考にしてください。
2-3.ファジー選択ツール
「ファジー選択ツール」は、クリックした場所の “ 色” を拾って、近似色の範囲を自動的に選択します。
離れた場所にも近似色があっても選択対象にならず、連続した場所にある近似色だけが選択されます。
もし、離れた場所の近似色も選択したい場合は、次項で紹介する「色域を選択ツール」を使ってください。
「ファジー選択ツール」は、様々な色が混じった切り抜き対象(人物など)には不向きですが、近似色のみの切り抜きに便利です。
1.「ファジー選択ツール」を選択します。
2.切り抜きたい場所をクリックし、
マウスのボタンを離さずに下(もしくは右)へドラッグすると、選択範囲に含む色の範囲が広がります。
逆に選択範囲が広がりすぎてしまったら、そのままマウスのボタンを離さずに上(もしくは左)にドラッグすると、
選択範囲が狭まります。
マウスのドラッグ操作で切り抜きたい部分が選択できたら、マウスを離します。
これで、選択範囲が作成できました。
- 透明部分を選択したい場合
ツールオプションの「透明部分も選択可」にチェックを入れると、透明部分も選択可能になります。
- 透過している下のレイヤーも選択範囲に含めたい場合
ツールオプションの「見えている色で」にチェックを入れると、複数のレイヤーが重なっていた場合、透過している下のレイヤーも選択範囲に含まれます。
3.次に、「選択」→「選択範囲の反転」をクリックし、
選択範囲を反転させます。(背景が選択範囲になります。)
続けて、「Delete キー」を押すと、
切り取り出来ます。
※切り抜いた場所を透明にしたい場合は、本記事内の「透明に切り抜く方法」を参考にしてください。
2-4.色域を選択ツール
「色域を選択ツール」は、クリックした場所の “ 色”を拾って、近似色の範囲を自動的に選択します。
前項で紹介した「ファジー選択ツール」では、連続した場所にある近似色だけが選択されますが、「色域を選択ツール」ではは、離れた場所にある近似色も選択範囲に含みます。
「色域を選択ツール」は、様々な色が混じった切り抜き対象(人物など)には不向きですが、近似色のみの切り抜きに便利です。
1.「色域を選択ツール」を選択します。
2.切り抜きたい場所をクリックし、
マウスのボタンを離さずに下(もしくは右)へドラッグすると、選択範囲に含む色の範囲が広がり選択範囲が広がります。
※このように、「色域を選択ツール」では、離れた場所にある近似色も選択範囲に含まれます。
逆に選択範囲が広がりすぎてしまったら、そのままマウスのボタンを離さずに上(もしくは左)にドラッグします。
すると、選択範囲が狭まります。
切り抜きたい部分が選択できたら、マウスのボタンを離します。
これで、選択範囲が作成できました。
- 透明部分を選択したい場合
ツールオプションの「透明部分も選択可」にチェックを入れると、透明部分も選択可能になります。
- 透過している下のレイヤーも選択範囲に含めたい場合
ツールオプションの「見えている色で」にチェックを入れると、複数のレイヤーが重なっていた場合、透過している下のレイヤーも選択範囲に含まれます。
3.次に、「選択」→「選択範囲の反転」をクリックし、
選択範囲を反転させます。(背景が選択範囲になります。)
続けて、「Delete キー」を押すと、
背景が切り取られます。
※切り抜いた場所を透明にしたい場合は、本記事内の「透明に切り抜く方法」を参考にしてください。
2-5.パスツール
慣れるまでは難しいかもしれませんが、複雑な形の切り抜き対象の場合、他のツールより正確に選択範囲を作成できます。
1.パスツールを使って選択範囲を作成する方法は、別記事の「GIMPのパスツールの使い方:初心者のための完全マニュアル」の「1-1. 直線を作成する」から「1-5. パスを選択範囲にする」までで詳しく説明しているので参照してください。
2.選択範囲が作成できたら、「選択」→「選択範囲の反転」をクリックし、
選択範囲を反転させます。(背景が選択範囲になります。)続けて、「Delete キー」を押すと、
背景が切り取り出来ます。
※切り抜いた場所を透明にしたい場合は、本記事内の「透明に切り抜く方法」を参考にしてください。
3.透明に切り抜く方法
背景を切り抜くと、このように白になりますが、
白ではなく、このように透明に切り抜く方法をご紹介します。
※GIMPでは、このグレーのチェック柄は透明を意味します。
1.切り抜きたい部分の選択範囲が作成できたら、
「レイヤー」 → 「透明部分」 → 「アルファチャンネルの追加」 を選択します。
画面上に変化はありませんが、チャンネルダイアログを確認すると 「アルファ」 が追加されています。
2.そして、「Delete キー」を押すと、透明に切り抜きができます。
まとめ
ご紹介した通り、切り抜きにもたくさんの方法があります。
- ざっくり切り抜くなら
→「切り抜きツール」「自由選択ツール、楕円選択ツール、矩形選択ツール」 - 人物などの複雑な形を切り抜くなら
→「前景抽出選択ツール」「パスツール」 - 境界線のコントラストがはっきりしているものを切り抜くなら
→「電脳はさみツール」 - 近い色の範囲を切り抜くなら
→「ファジー選択ツール」「色域を選択ツール」
それぞれ使いこなしてください!